【文献】子宮内膜症とIVFの結果

アジア女性の間で子宮内膜症の患者数が多いのは、IVFの結果が悪いことに起因しない

アメリカ生殖医学会が発行する「生殖補助と遺伝学のジャーナル」の中に、「アジア女性の間で子宮内膜症の患者数が多いのは、IVFの結果が悪いことに起因しない」と題した記事がありましたのでご紹介させて頂います。

この研究の目的は、民族的に多様な人々のIVFの結果は、子宮内膜症の診断または子宮内膜症に子宮内膜腫がある事による影響を判断するもので、20081月1日から20091231日の期間に大学に付属した不妊治療クリニックで最初のIVFサイクル(n = 717)を受けている女性の子宮内膜症の診断を行うため、過去のデータを遡って評価したものです。

アジア女性の出生国と民族性に着目したところ、子宮内膜症の患者数、IVFの成功数が異なる事が判明していました。

IVFによって臨床的に妊娠する機会のための子宮内膜症や出生国の関係性を評価するため多変数モデルによって行われ、子宮内膜症は、参加者の9.5%の中で診断され、3.5%も子宮内膜腫の診断を受けました。

アジア女性の子宮内膜症の患者数は、白人女性よりも非常に高い結果(アジア女性:15.7%、 白人女性:5.8%)になった様です。

人種または民族性により子宮内膜腫の有無に違いは無かったようですが、フィリピン人、インド人、日本人、韓国人の女性は、白人女性よりも子宮内膜症を患っていました。

卵胞細胞数、受精卵のクオリティ、受精率は、子宮内膜症には関係が無く、臨床的な妊娠率は、アジア人の女性は低く、特にインド人と日本人はとても低かったようです。

白人女性よりも症候性のIVF治療をしている、フィリピン人、インド人、日本人、韓国人の女性では、子宮内膜症の患者数は多かったようです。

しかしながら、IVFの結果は相違しており、条件付きで子宮内膜症を患っていても影響を受けていなかったとのこと。

今後の研究では、子宮内膜症の診断や不妊治療の前に暴露を捉えることができる長期的な研究の形で、彼らが子宮内膜症の影響の有無について、アジア人の妊娠結果の改善に焦点を当てるべきであるとして結論づけられていました。

この論文のデータは10年ほど前ということで、現在の医療技術はより高いレベルになっているため、当時の状況とは異なることや、患者様の年齢からなる成功率など、現在は少し違う状況になっているかもしれません。

このような研究結果が他にあれば、またご紹介させて頂きます。

(出典)

Yamamoto, A., Johnstone, E.B., Bloom, M.S. et al. J Assist Reprod Genet (2017). doi:10.1007/s10815-017-0919-1

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