卵子がない人、少ない人の不妊治療【原因や治療の進め方】

不妊治療をする中で、卵子がない、または卵子が少ないと診断を受けることがあります。卵子に問題があり不妊治療を行っているご夫婦は少なくないと思います、それは先天的な問題もあれば、卵子についてよく知られていないという事も原因のひとつだと考えられます。

本記事では、卵子がない・少ない原因や治療法、卵子提供という選択肢について紹介していきます。

 

不妊治療の多くを占める卵子の問題

WHO(世界保健機関)が発表した不妊症原因の統計における不妊症の原因は、女性側(41%)、男性側(24%)、男性・女性共(24%)、原因不明(11%)となっており、不妊症のうち半数は男性側となりますが、女性側の原因が多くを占めているという状況です。

 

さらに女性の不妊症には、排卵因子(排卵障害)、卵管因子(閉塞、狭窄、癒着)、子宮因子(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、先天奇形)、頸管因子(子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常など)、免疫因子(抗精子抗体など)、原因不明因子など、様々な要因があります。

日本受精着床学会が行なった不妊治療患者によるアンケート調査(2003年)によると、男性因子33%、卵巣因子21%、卵管因子20%、子宮因子18%、免疫因子5%、その他4%(出典:日本産科婦人科医会 5.不妊の原因と検査)という結果でした。

 

女性側の要因の中でも最も多く割合を占める卵巣因子には、加齢に伴う卵子の質の低下が挙げられます。

 

卵子がない、少ない卵巣機能低下の原因

先の項目において、女性側の不妊症の要因(卵巣因子)の1つとして加齢に伴う卵子の質の低下を挙げましたが、ここではあまり多くのことが知られていない『卵子』について述べます。

 

卵子は、男性の精子とは異なり、新しく作られることはありませんし、実年齢より若いと言うこともありません。女性は100〜200万個の卵子を持って生まれ、成長と共に徐々に排出していきます。月経が始まる頃には、30〜50万個、月経に伴い、1,000〜2,000個、30代後半には約2万5,000個、閉経時には約1,000個へと減少してゆきます。

毎月の月経で約2,000個の卵子が減少しますが、その中から1、2個の卵子のみ排卵され、妊娠する卵子は胎児となり、一方、妊娠しない卵子は体内で消滅します。

 

この過程の中で妊娠に結びつかない理由の1つとして、卵巣機能の低下に伴う、卵子の質(老化)が影響すると言われております。老化した卵子は、染色体の異常を起こしやすく、受精障害や早期流産をも引き起こす原因とも言われており、仮に良い卵子が採れて受精卵を準備できても、着床して胎児として成長しない場合が多くなります。

 

一概には言えませんが、やはり卵子の老化によって染色体の異常が発生した事で、子宮には問題がないにもかかわらず流産するケースが多いことが想定されます。また、卵巣機能による不妊の原因として、ターナー症候群、早期閉経や自然閉経、排卵誘発剤を用いた採卵周期で採卵数が著しく少ない、又は無いなどがあります。

 

下記のグラフから女性は35歳以上になると妊娠率は低下し、流産率が上昇する事がわかります。

出典:日本産科婦人科学会 ARTデータブック2017年度版より

 

卵子がない、少ない時の不妊治療

卵子がない、または少ないと診断された時の不妊治療はどのようなものとなるのか?主な治療法や、不妊治療における助成金について紹介していきます。

排卵障害の種類と治療法

女性の不妊症の因子うち、最も多い割合を占める排卵障害の主な種類と治療法等は次の通りです。

高プロラクチン血症

  • 基礎値が正常範囲を逸脱し、高値であれば高プロラクチン血症と診断されます。
  • 本症状には、器質性高プロラクチン血症と機能性高プロラクチン血症があり、前者は原疾患の治療を行い、後者はテンロンやパーロデルによりドーパミンの受容体を刺激し、下垂体からのプロラクチンの分泌を抑制します。

多嚢胞性卵巣症候群

  • 月経異常、多嚢胞性卵巣、血中男性ホルモン高値、LH基礎値高値、FSH基礎値正常を示す疾患です。
  •  排卵誘発法に対して過剰反応しやすく、多発排卵を起こし、副作用として卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠が起こりやすい。
  • clomiphene citrate療法が適応となることが多く、clomiphene citrateとプレドニゾロンを併用する療法あり。

黄体機能不全

  • 要因が多岐にわたるため、診断基準はいまだに確立されていないようですが、一般的には、黄体からプロゲステロン等のステロイドホルモンの産生低下、黄体存続の短縮により不妊・不育あるいは機能性子宮出血などの症状があります。
  • 治療には、clomiphene citrate、hMG、FSHを用いた卵胞発育刺激法が用いられます。

黄体化未破裂卵胞

  • 卵胞の黄体は認められているものの卵胞液の破裂、卵の放出が認められない病状です。
  • 治療は、排卵期に非ステロイド性消炎鎮痛薬の服用を避けること、卵巣周囲の癒着剥離、子宮内膜症病変の除去、排卵期のhCG投与など。

治療が難しい症状

次の症状については、日本での治療を継続する事は難しい可能性があります。

  • ターナー症候群と診断され、卵巣が機能していない。
  • 早発閉経の診断を受けている。
  • 自然閉経後
  • 過去の治療で結果が出ておらず、女性の年齢が45歳以上 等

不妊治療の助成金について

日本では不妊治療の経済的負担を軽減するため、体外受精や顕微授精の場合、医療保険が適用されない治療費の一部を都道府県、指定都市、中核市が実施主体となり負担する助成金制度(特定不妊治療費助成事業)があります。

助成金額は1回の治療につき、15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)※まで、初回のみ30万円まで助成。(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除きます。

 

助成回数は初めて助成を受けた際の治療開始時点となります。

    1. 妻の年齢が40歳未満:通算6回まで
    2. 妻の年齢が40歳以上:通算3回まで

※助成金の対象は自治体ごとに条件が異なりますので、お住まいの自治体ウェブサイトや窓口で確認してください。

 

上記ほか、医療費控除の制度があります。

1年間にかかった医療費(1年間で10万円以上もしくは総所得金額の5%)から助成金額を差し引いたものが医療費控除の対象になりますので、税務署等へ確認してください。

 

卵子提供という選択肢

不妊症には様々な原因がありますが、現在、日本ではご夫婦の卵子・精子から体外受精を行う治療が残された最後の方法と言えます。

しかし、何度も治療を繰り返しても結果が出ないにもかかわらず、医師から妊娠する事は不可能である旨、宣告される事は稀では無いかと推測します。自分自身の卵子を諦める事は、女性としての人生を考えた時にとても大きな決断であり、そこに至るまでに苦悩と悲しみがあるはずです。

 

海外では、第三者の健康な女性から卵子を提供してもらい体外受精を行う、『卵子提供』という選択肢があります。

 

米国では治療を行なっている患者さんが思うような結果が出ない時や45歳をひとつの年齢制限として治療を終了、または体外受精を3回行なったが結果が出ない場合でも治療を終了するか、卵子提供にて治療を継続するのか選択肢が与えられます。

 

日本国内では医師から、卵子提供の選択肢について言及されることは少ないことが想定され、ご夫妻が治療の選択肢としてインターネット等の情報を検索している事が推測されます。

 

モンドメディカルでは、卵子提供ほか代理出産プログラムをご提供しており、無料相談を実施しておりますので、詳しいお話をご希望のご夫妻はお気軽にお問い合わせください。

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