凍結受精卵の移送をご希望される方へ。方法や流れをご紹介

近年、世界各国において受精卵の凍結・融解方法が統一された事で企業の異動に伴う引越しや転院、国内では行うことができない生殖補助医療(卵子提供・代理出産など)を行うために国内外への移送をご検討されているお客様はいらっしゃると思います。
そこで今回は、凍結受精卵の移送をご検討されている方へ手続きや流れについてご紹介いたします。

 

凍結受精卵の移送方法(国内)

まず、はじめに凍結受精卵の移送方法、移送容器、移送までの流れについてご案内いたします。

移送方法

弊社では特別な取り扱いが必要な受精卵等を移送する時は、安全性の高いハンドキャリーという方法で全ての移送を行います。

この移送方法は、専用の移送容器を使い、集荷および配達を同一スタッフが専任で手運びにて移送する方法です。

移送中は、常に移送スタッフが手運びするため、安全性が高く、移送物を紛失することはありません。

また、IATA:International Air Transport Association(国際航空運送協会の移送に関わる講習:危険物含む)を受けた専門性の高いスタッフが行います。

移送に使用する機材

凍結受精卵等はドライシッパーという移送容器を使用して行います。

ドライシッパーとは、凍結受精卵、卵子、精子ほか、生物試料を安全に移送するために開発されたアルミニウム製の真空断熱容器で内部の多孔質の吸収体に液体窒素を吸収させて内部温度を極低温(マイナス150度以下)に保ちます。

万が一、容器が転倒した場合でも液体窒素が漏れる心配はありません。

また、当該容器はIATA危険物規則書の特別規定A152により航空機内に持ち込むことが認められております。

移送の流れ

お問合せから移送までの流れは次の通りです。

STEP1 : お問合せ

  • お問合せフォームまたは電話にて移送物(個数)、集荷・配達先施設の情報をお知らせください。
  • 内容確認後、移送費用等についてご連絡いたします。

STEP2 : ご発注

  • 電話またはメールにてご発注ください。

STEP3 : 契約書の締結

  • 発注後、移送契約書を作成・送付致しますので、ご署名の上、返送して頂きます。(基本的には、オンライン上のやりとりです。)

STEP4 : 移送代金のお支払い

  • 弊社指定の銀行口座へ移送代金をお支払いただきます。

STEP5 : 日程調整

  • 弊社から双方の医療機関へ連絡し、集荷・配達日の調整および必要書類等を確認いたします。
  • 事前にお客様から、医療機関のご担当者様の情報を共有して頂きます。

STEP6 : 移送準備

  • 移送する受精卵等の数、移送先等に応じて適切なドライシッパーを準備いたします。
  • 基本的には約14日間、極低温を保つことができるドライシッパーで移送を行います。

STEP7 : 移送実行・完了連絡

  • 事前に調整した日時に医療機関へ移送いたします。
  • 移送完了後、お客様へご報告いたします。

 

凍結受精卵の移送方法(海外)

国内から海外または海外から国内への移送も基本的には国内間の移送と同様となりますが、移送に関わる国々によって準備する資料が異なり、現地の言語に資料を翻訳する必要があります。

また台湾やメキシコなど、移送するにあたり関係機関に申請して移送許可書を入手し、その許可書の有効期限内に移送を行う必要があります。

 

凍結受精卵を移送するリスク

凍結受精卵を移送するときに想定されるリスクを挙げ対応策を示します。

移送中の破損・紛失に伴うリスク

凍結受精卵を移送するリスクとして、第一に破損や紛失のリスクが挙げられます。

弊社ではこのようなリスクを回避するべく、特別な事情を除き、原則としてハンドキャリー移送で受精卵等を移送しております。

ハンドキャリー移送については上述した通り、ひとりのスタッフが手運びする方法で、移送中はドライシッパーを肌身離さず持っていますので、荷物が破損・紛失するリスクはございません。

お客様のご希望に応じてドライシッパーにトラッキングシステムを装着して移送ルートお示しすることもできますので、必要に応じてご相談ください。

移送中の温度上昇に伴うリスク

弊社では約14日間、極低温を保つことが可能なドライシッパーを使用いたします。

液体窒素の充填に関しては、移送前日まで充填した上で移送を行いますので、移送中に温度が上昇することはございません。

お客様のご要望に応じて、温度記録計をドライシッパーに装着して極低温状態である事を記録し、移送完了後、データをお渡しすることも可能ですので、詳細はお問い合わせください。

凍結受精卵をエックス線に照射することのリスク

航空機を活用したハンドキャリー移送を行う際、空港内の手荷物検査場においてX線(放射線量:約1マイクロシーベルト)によって手荷物検査が行われます。

一般的に放射線は細胞にあたると、細胞の中にあるタンパク質や核酸といった物質に電離作用が働きますが、放射線の量が大きく電離作用も多いと、細胞にいろいろな影響を及ぼすリスクがあります。

マウスの実験では、50ミリシーベルトで胚の死が認められ、他の動物実験では卵子・精子の遺伝子が放射線によって変化したという事も確かめられているようです。

弊社では輸送中に受精卵等に対して放射線による影響を与えないように必要書類等を事前に準備してX線検査を回避しています。

今までの経験上、空港によっても対応策が異なりますので、詳しくはお問合せください。

 

凍結受精卵の移送にかかる費用

凍結受精卵の移送にかかる費用は、弊社ホームページ内に記載しておりますので、コチラをご覧ください。

 

まとめ

今回は、凍結受精卵等の国内・国外への移送についてご紹介いたしました。

毎年、年度末の時期に移送に関するお問い合わせを多く頂戴いたします。
しかし、昨今のコロナウイルスの影響に伴い、企業の異動時期が先延ばしとなり、緊急事態宣言解除後から国内移送のご発注が増えてきております。

一部のお客様は国外への移送を希望されておられますが、入国制限下にある場合は、ハンドキャリー移送を行えない場合もございます。

ただ、移送物によっては別の移送方法もございますので、詳しくはお問合せください。

お問い合わせの際、移送を希望される国名(エリア)と移送する検体の種類をご教示ください。

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